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2016.08.04

34年ぶりのピカソ「ゲルニカ」 ソフィア王妃芸術センター

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マドリードでは、ほとんど時間が取れなかった。それでも、どうしても見ておきたいものがあった。

それは、パブロ・ピカソがスペイン内戦中の1937年に描いた絵画『ゲルニカ』。

初めてゲルニカを見たのは、卒業旅行でスペインを訪れた時のこと。あれから34年の月日が流れた。

当時は、フランコ独裁政権が終わってから、まだ6~7年しかたっておらず、政情がやや不安定だったのだろう。

記憶が少し曖昧だが、ゲルニカは他の美術品とは別の建物に隔離展示されていたように思う。この建物へ入るためのセキュリティチェックがとても厳しく、持ち物はすべて預ける必要があった。

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ゲルニカは、 縦3.49 m x 幅7.77 mの大きな絵画。当時は、この絵が防弾ガラスの容器にすっぽりと収められており、 防弾ガラスの前を一列になって横に進むようにして、見学した。

しかも、この防弾ガラスの横には、自動小銃をもった武装警官が数人、目を光らせていた。

絵をじっくりと鑑賞するには、ほど遠い環境だったと思う。


ゲルニカは、マドリード・アトーチャ駅にほど近い美術館 ソフィア王妃芸術センターに展示されている。

今回、この美術館を訪問するにあたっての問題は、マドリードへの到着が遅いこと。

マドリードへは、バルセロナからブエリング航空で移動。当初はVY1011便で11時30分にバルセロナを出発し、12時50分にマドリード到着する予定だった。ところが、この予約がタイムテーブルの改変でVY1025便に変更され、15時25分発、16時45分着となった。

この日は日曜日で、ソフィア王妃芸術センターの閉館時刻は19時。空港から市内までは、最低1時間はかかるはずで、閉館までにたどり着けるのか。

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マドリード・バラハス空港から 市内行きのバスに乗る。この時点で、すでに17時半を過ぎていた。

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バスは、第4ターミナルを出発。すぐに広い道路に出るが、ここから別ターミナルへ移動。ターミナル3,2,1と順番に回って乗客を拾っていくので、なかなか時間がかかる。タクシーにしておけば良かったと、少し後悔。

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空港ターミナルを後にし、バスは市内へ。現在、バスは高速道路上のバス専用車線を走っている。右前方に見えるタワーは、スペインの国営放送TVEのアンテナ塔。

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市内中心部に入ってきた。幸い、渋滞はしていない。途中、バス停に止まりながら乗客をちょっとずつ降ろしていくので、時間がかかる。

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前方、ロータリー交差点の中央に見えるのはアルカラ門。スペイン王・カルロス3世により造られた門で、王宮と同じ白い御影石が用いられている。

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いよいよ終点のアトーチャ駅が見えてきた。ここは、マドリード最大の鉄道駅。この駅舎もじっくり見たかったのだが、すでに時刻は18時20分。もう時間が無いので、ソフィア王妃芸術センターへ急行しないと、ゲルニカに会えなくなってしまう。

アトーチャ駅から、ソフィア王妃芸術センターは近く、徒歩5分くらいで行けるはず。

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アトーチャ駅に到着した。18時22分なので、閉館まであと38分。

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アトーチャ駅のバスターミナルは、中央部分にエレベーターがある構造。

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バスターミナルから離れて、ソフィア王妃芸術センター方向へ歩く。左側の丸い部分がバスターミナル。雲が多いが、空はとても青い。

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左を見ると、アトーチャ駅のドーム部分が綺麗に見えた。駅舎をじっくり観察したいところだが、時間がない。

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横断歩道を渡った先にソフィア王妃芸術センターの特徴あるエレベーターが見えた。あそこ入口だろう。芸術センターの前は、広場になっていて、子どもたちがサッカーをして遊んでいる。

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やっと入口に到着。現在時刻18時30分、閉館まで30分しかない。ソフィア王妃芸術センターは、日曜日の午後は無料になっているので、入場券を買う必要は無く、そのまま入れるはず。

今日がスペイン旅行の実質最終日だが、最初から最後まで時間に追われる旅となった。分刻みの予定があり、「今日はどこへ行こうか」などと、悩まなくて済むのはいいのだが、スケージュール的にはかなり忙しく、あわただしい。

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ソフィア王妃芸術センターの入口を入ると、係員に「手荷物を検査機に通すように」と言われる。そして、奥のロッカーへ荷物を預けるように促される。

ロッカーに荷物を入れ、カギを締めようとするが、どうしてもカギが締まらない。仕方なく、係員のところへ戻り、「カギがしまらないだけど、どうやって締めたらいいの?」と聞く。

要するに、ロッカーのドアサイド(扉を閉めると見えなくなる位置)に、1ユーロコインを入れるようになっており、そこにコインを入れると、カギが締まる構造になっている。完全なメカニカルな仕組みで、分かってしまえば簡単。

もう時刻は18時35分。時間が無いので、カギの締め方を答えてくれた係員に「ゲルニカはどこですか?」と聞く。場所は2階という。すぐさま、エレベーターへ移動する。

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エレベーターで、急ぎ2階へ。2階に着いたのはいいが、やはり場所が分からない。すれ違った係員にまた、「ゲルニカはどこですか?」と聞く。今度は部屋番号で答えてくれた。この廊下をまっすぐ進めばいいようだ。

その番号がついた部屋に入ると、中は、ピカソの作品ばかり並んでいる。しかし、それらを鑑賞している余裕はない。奥へ奥へと進むと、広い部屋があり、多くの人が集まっていた。その目線の先にあったのは、まぎれもなくゲルニカ。

係員らしき人が二人ついて監視しているものの、昔のように防弾ガラスの中に置かれているのではなく、絵はそのまま目の前にある。34年ぶりにやっとこの絵に会えた。縦3.49 m x 幅7.77 mの大きさだが、大きいとも小さいとも感じない。ちょうど良い大きさに思える。しばらく、じっと鑑賞を続けた。

しかし、5分ほどたって、女性の係員が何かを言った。すると、ゲルニカの前に集まっていた人達が、少しずつ外へ移動し始めた。時刻は18時45分、閉館15分前には、退場が始まるということだった。

廊下に出る。ぞろぞろと出口に向かって歩いて行く人々の流れがあり、私もその流れに加わる。そして、階段を降り、出口へ。15分程前に預けたばかりの荷物をロッカーから取りだし、外へ出る。

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ソフィア王妃芸術センター前の広場では、相変わらず子どもたちがサッカーに興じている。さっきまで見ていたゲルニカの印象を心に刻みながら、しばらく広場を眺めていた。

入場無料とはいえ、ゲルニカとの再会は、たった5分であっけなく終わった。

もうちょっと、じっくり見ていたかったような気もするが、芸術にさほど造形が深いわけでもなく、この5分間で充分だったのかもしれない。

ゲルニカという絵自体を見たいのではなく、ゲルニカを見ていた34年前の自分をふり返りたかった。その役目は果たせた。

2016年5月29日

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